安全装備

レーダーブレーキサポートⅡ(DBA-YD21S・DBA-YE21S・CBA-YEA1S)

レーダブレーキサポートⅡは前方衝突警報機能、前方衝突警報ブレーキ機能、前方衝突被害軽減ブレーキアシスト機能、自動ブレーキ機能を備え、前方衝突事故に対して衝突被害軽減、状況によっては衝突回避を図るシステムである。

前方車両検知用センサーはミリ波(電波)レーダー方式を採用し、オートブレーキコントローラーと一体となっている。
レーダセンサーはオートブレーキコントローラーの正面から電波を発信し、前方車両からの電波の反射時間、反射方向から車間距離、前方車両との相対速度、方位を検知する。電波を利用することから、高速域や夜間、雨天、濃霧などの悪天候でも検知可能である。

左:センサー&コントローラー本体。フロントグリルの奥に設置されている。

レーダーブレーキサポートⅡは、オートブレーキコントローラー、RBSⅡ OFF SW、FAR/NEAR切替SW、ESP® OFF SW、ステアリング角センサ、コンビネーションメーター、ECM、BCM、ESP®コントローラー及びTCM (A/Tコントローラー)で構成されている。

レーダーブレーキサポートⅡの自動ブレーキ作動イメージ

前方車両に急接近した場合、衝突の可能性を検知し、コンビネーションメーターの警告音とインフォメーションディスプレイ表示によりブレーキ操作を促す警報を行う。衝突が避けられないと判断した場合は自動的にブレーキを作動させて衝突の回避又は衝突時の被害軽減を図る。

1) ミリ波レーダーがA地点で前方を走行する前方車両を捕捉。
2) B地点まで近づくと衝突の可能性があると判断し、コンビネーションメーターの警告音とインフォメーションディスプレイ表示により、ドライバーにブレーキ操作を促す警報を行う。(前方衝突警報機能)
3) C地点まで接近すると衝突の可能性が高いと判断し、RBSⅡ作動表示灯を点滅させるとともに自動で弱いブレーキをかけ、ドライバーに衝突回避を促す。(前方衝突警報ブレーキ機能)
4) D地点まで接近すると衝突が避けられないと判断し、自動で強いブレーキをかけ、衝突の回避又は衝突時の被害軽減を図る。(自動ブレーキ機能)
また、C地点を超えてドライバーが強くブレーキペダルを踏むとブレーキ圧を増圧し、より強い制動力を発生させることにより衝突の回避をアシストする。(前方衝突被害軽減ブレーキアシスト機能)

デュアルセンサーブレーキサポート(4BA-YEA1S)

四代目エスクード1.4Lターボ仕様のCBA-YEA1SまではレーダーブレーキサポートⅡの衝突被害軽減システムだったが、4BA-YEA1Sではデュアルセンサーブレーキサポートに変更し、単眼カメラと赤外線レーザーレーダーを組み合わせたシステムとなった。
衝突被害軽減ブレーキ対象は車両だけでなく人にまで拡大し、そのほか誤発進抑制機能、車線逸脱抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能も追加された。
また、隣接車線の後方から接近する車両を検知するブラインドスポットモニター、駐車場などで自車の後方左右から接近する車両を検知するリヤクロストラフィックアラートも装備し、予防安全性を高めている。

デュアルセンサーブレーキサポート
ブラインドスポットモニター
車線逸脱抑制機能ON/OFFスイッチ

アダプティブクルーズコントロール(DBA-YD21S・DBA-YE21S・CBA-YEA1S)

アダプティブクルーズコントロールシステムは約40 km/h~約100 km/hの間で任意の車速を設定すると、走行車速を一定に保つ機能に加え、前方車両を認識して車速に応じた車間距離を保ちながら追従走行することができる。
アダプティブクルーズコントロールシステムは、オートブレーキコントローラー、クルーズコントロールSWアッシ、ECM、ESP®コントローラー、ステアリング角センサー、コンビネーションメーター、TCM (A/Tコントローラー)及びBCMで構成されている。
前方車両検知用センサーはミリ波(電波)レーダ方式を採用し、オートブレーキコントローラーと一体にした。
前方車両に追従走行する場合の設定車間距離を「長」・「中」・「短」の3段階に設定することが出来る車間距離設定SWをクルーズコントロールSWアッシに内蔵し、ステアリングホイール右側に配置している。
アダプティブクルーズコントロールシステムの制御状態をコンビネーションメータ内のインフォメーションディスプレイに表示させ、システムの状態を目視で判別できるものとなっている。

全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロール(4BA-YEA1S)

システム構成やマルチインフォメーションディスプレイでの表示はDBA-YD21S・DBA-YE21S・CBA-YEA1Sと若干の違いはあるが、機能としては上記のアダプティブクルーズコントロールとおおむね同じ。
4BA-YEA1Sはさらに2秒までなら完全停止までサポートする全車速に対応する。
これにより高速道路での長距離運転や渋滞走行時の発進・停止を頻繁に繰り返す状況などで、運転操作の負担を軽減する。

ESP®[車両走行安定補助システム]

ESP®の制御は、ABS/EBD制御、トラクションコントロール、スタビリティ制御、エンジントルクアップ制御、ヒルホールドコントロール、ヒルディセントコントロール(4WD仕様)、エマージェンシストップシグナル(ESS)、EPS( 電動パワーステアリング )協調制御及びブレーキアシスト制御である。ESP®コントローラーは、ECM、A/Tコントローラー、ステアリング角センサー、4WDコントローラー、BCM及びP/SコントローラーとCAN通信による協調制御を行い、車両の制動力、駆動力、旋回性を総合的に制御するシステムである。
ESP®の各制御及び機能は下記の通り。

ABS/EBD制御

ABS制御は、ブレ-キング時の各車輪のスリップ(ロック傾向)状態に応じて、4輪のブレーキ液圧を独立して変化させる制御である。また、EBD制御は、積載量などによる荷重の変化に合わせて、前後輪の制動力を適切にコントロール(制動力配分制御)している。これらによりブレ-キング時の車両の安定性と操舵性の確保及びブレーキの効き性能を向上させている。

トラクションコントロール

発進時・加速時等の各車輪のホイールスピン状態に応じてエンジントルクを制限させたり、該当する駆動輪にポンプモーターで発生させたブレーキ液圧を作用(アクティブブレーキ)させる制御である。これにより発進時、加速時等の車両の安定性を確保する。

スタビリティ制御

車両が旋回時にオーバステアやアンダステアに陥った場合、状況に応じてエンジントルク及び4WD締結トルクを制限させたり、目標車輪にポンプモーターで発生させたブレーキ液圧を作用(アクティブブレーキ)させる制御である。これらにより旋回時の安定性を補助する。

エンジントルクアップ制御

急制動時・滑りやすい路面でのアクセルOFF時等により駆動車輪ロック状態に陥った時に、エンジントルクをコントロールして車輪ロックを防止する。これにより車両の安定性と操舵性を確保する。

ヒルホールドコントロール

登坂路で車両を停車するのに必要なブレーキ圧力を保持することで、登坂発進におけるブレーキペダルからアクセルペダルへの踏みかえ時の車両ずり下がりを最大2秒防止する。

ヒルディセントコントロール(YD21S除く)

雪道などの滑りやすい坂道(勾配約4%以上)を下る際、アクティブブレーキで車速を一定(約7 km/h)にコントロールする機能である。これにより、ドライバーのブレーキ操作を軽減し、アクセルペダルの操作のみでステアリング操作に集中することができるようサポートする。

エマージェンシストップシグナル(ESS)

エマージェンシストップシグナル(ESS:Emergency Stop Signal)は車両が急制動を行った際、ハザードランプを高速点滅させ後続車に急制動中であることを知らせ追突事故の抑制を図る機能である。

EPS( 電動パワーステアリング )協調制御

μスプリット路面(※)において車両の状態に応じ、操舵トルクをアシストすることで、車両の安定性と操舵性を向上させる。
(※)μスプリット路面とは、左右輪で滑りやすさの異なる路面(アスファルトと雪上等)をまたいで走行する路面状態のこと。

ブレーキアシスト制御

急制動を検知した場合、ポンプモーターで発生させたブレーキ液圧を作用させ踏力が低い場合でも大きな制動液圧を発生させる。これによりブレーキの効き性能を向上させる。

軽量衝撃吸収ボディー TECT<テクト>

TECT:Total Effective Control Technologyの略。
エスクードは万一の衝突時でも衝突エネルギーを効率よく分散・吸収し、乗員を保護する軽量衝撃吸収ボディTECT[テクト]を採用し、高水準の衝突安全性に対応する車体構造となっている。
高張力鋼板を多用するとともに、コンピューターによる構造解析を駆使して、安全性の向上と軽量化を実現している。

TECT前面衝突エネルギー分散イメージ(車体下部)

前面衝突時のエネルギーは、エネルギー吸収量を最大限に確保できるストレートの箱型形状のエプロンサイドメンバーにより吸収する。

側面衝突時のエネルギーは、主に多重構造のサイドシルストレングスとリヤドアヒンジリンフォースにより分散・吸収する構造となっている。

後面衝突時のエネルギーは、主にリヤフロアサイドメンバにより吸収する構造となっている。

歩行者傷害軽減ボディー

万が一の接触時に歩行者への衝撃軽減するための歩行者傷害軽減ボディとなっている。ボンネットはじめワイパー周り、バンパーなどに衝撃吸収構造を採用している。

1 衝撃吸収フードパネル
2 衝撃吸収フードヒンジ構造
3 衝撃吸収ワイパー構造
4 衝撃吸収カウルトップ構造
5 衝撃吸収脚部保護構造
6 衝撃吸収フロントフェンダー構造

フロントフードとエンジンルーム内部品の間に衝撃吸収クリアランスを確保している。また、フロントフードのヒンジが押された場合でも底付きしない構造となっており、これにより歩行者と衝突した場合、フロントフードを衝撃に応じて変形させると共に、フロントフードヒンジが下方へ移動し、衝撃吸収クリアランスによりエンジンルーム内部品に接触する事無く衝撃エネルギを吸収する。
フロントフェンダーをブラケットを介して固定することで、歩行者の頭部がボンネットと衝突した場合にブラケットが変形し、衝撃エネルギーを吸収できる構造となっている。

カウルトップガーニッシュを樹脂化することにより、歩行者の頭部がフロントフード後方と衝突した場合にフロントフード及びカウルトップガーニッシュが変形し、衝撃エネルギーを吸収する。
フロントワイパーは衝撃が加わった場合に折れる構造となっており、これによりカウルトップ部に歩行者が衝突した場合、カウルトップガーニッシュが変形すると共にフロントワイパの取付け部が折れることで衝撃エネルギーを吸収する。

フロントバンパーはエンジンルーム内部品の間に衝撃吸収クリアランスを確保しており、歩行者の脚部がフロントバンパーに衝突した場合にフロントバンパーメンバ及びフロントバンパーロアアブソーバが変形し、衝撃エネルギーを吸収できる構造となっている。